研究概要

高性能ネットワークポリマーの開発

熱硬化性樹脂を硬化させると、高架橋度のネットワーク構造を有するポリマーが形成されます。このようなネットワークポリマーは、高い耐熱性や機械強度、電気絶縁性などの優れた特性を示します。そのため、熱硬化性樹脂は接着剤、塗料、電気・電子材料、高性能複合材料など様々な分野で広く使用されています。

熱硬化性樹脂には、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シアナート樹脂など多くの種類がありますが、いずれの硬化物も高架橋度であるがゆえに「もろい」という欠点を有しています。よって当研究室では、この「もろさ」を改善した強靭な硬化物を得るための研究を行っています。具体的には、改質剤として働くポリマーを熱硬化性樹脂の硬化系中で生成させる「in situ重合法」による硬化物の強靭化、2種類のネットワークが互いに絡み合った相互侵入高分子網目(IPN)構造に基づく高性能硬化物の作製などに取り組んでいます。また、新しい分子構造を有する高耐熱性エポキシ樹脂の開発なども行っています。

In situ重合法による熱硬化性樹脂の強靭化

バイオマス由来ネットワークポリマーの開発

植物資源の主要成分の一つであるリグニンは、その含有量にもかかわらず有効な利用法が確立されていません。リグニンはフェノール性OH基を有しているため、このOH基を用いた高性能材料への転換が期待されています。しかし実際には、リグニン中のフェノール性OH基の量が十分でないため、従来の石油由来材料に匹敵する性能を実現することは難しいのが現状です。

当研究室では、リグニンを各種フェノール類と反応させることによってフェノール性OH基を増量し、これをエポキシ樹脂の硬化剤などとして用いることにより、高性能のバイオマスネットワークポリマーを創出する研究を進めています。天然由来のフェノール類をリグニンに導入することにより、バイオマス比率を下げることなくフェノール性OH基を増量し高性能の硬化剤を得ることにも成功しています。

新原理に基づく感光性ポリマーの開発

感光性ポリマーは、光が当たった部分の特性が変化するポリマーであり、変化する特性としては溶解性の変化がよく用いられます。このような感光性ポリマーの膜に対して、微細なパターンが描かれたマスクを通して光を照射したのちに、適切な溶媒(現像液)に浸して現像を行うことにより、マスクと同じ形状の凹凸微細パターンを作製することが出来ます。このような性質を利用して、感光性ポリマーは集積回路(IC)、電子基板、 3D造形物の作製など様々な場面で幅広く利用されています。

当研究室では、市販のエンジニアリングプラスチック(エンプラ)などにそのまま感光性を与えることができる「反応現像画像形成法(RDP)」の開発に成功しています。RDPの利用により、市販のポリイミド、ポリカーボネートなどを含む様々なエンプラやビニルポリマーなどに容易に感光性を付与し微細パターンを形成することができます。また、RDPを応用した膜表面の選択的な修飾なども可能です。現在は、RDPを適用できるポリマーのさらなる拡大や、新しい反応機構による感光性ポリマーの開発、低環境負荷の現像液によるパターン形成などについて研究を進めています。

ポリペプチド側鎖の動的組換えなどを利用した機能性ポリマーの開発

天然高分子であるタンパク質は、酵素のような高性能の触媒機能、抗体のような優れた分子認識能などを示しますが、合成高分子を用いてこのような優れた性能・機能を実現することは、現時点では困難な課題です。

当研究室では、タンパク質と同じように「高分子ならでは」の特性により機能を示すポリマーについての研究を行っています。具体的には、可逆的な切断・再結合が可能な共有結合である動的共有結合を用いてポリペプチドの側鎖を動的に組換えることにより、タンパク質と同じ原理で高次構造と機能を発現する「タンパク質的なポリマー」を得るための検討を行っています。また、側鎖の動的組換えを用いた機能の付与についての研究も行っています。さらに、高分子化することで性能が向上する触媒や、らせん構造を有する環状分子などについても研究を行ってきています。

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大山研究室
横浜国立大学
大学院工学研究院/理工学府
化学・生命系理工学専攻

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